e爺なる人々
「IT革命」なる語が2000年度流行語大賞になるほど、昨年はおじサマたちがIT、ITで浮かれ騒いだ年だった。正月には、例の頼りない首相までがTVコマーシャルでマウスをクリックして“イン博”の宣伝をしていたくらいだ。
騒いだわりに実体が不明瞭なまま、というのがこの国の特徴らしい。手口ときたらいつも同じで、
- アメリカ発の概念論を高級コンサルがまずセミナーで紹介し、
- ついで、いつも流行ネタを追うしか能のない雑誌ジャーナリズムが半端な事例をかき集めて特集し、
- 大手コンピュータメーカが旧製品に化粧直しを施してメニューに付け加えたあと、
- 最後に三流の経営学者が理論化して終わる、
というのがパターンだ。BPRもそうだったし、グループウェアもSISも、もっとさかのぼってEISだのFAなんかも皆そうだ。どれ一つとして私は概念の中核を明確に理解できなかった。中核なんか無いからだ。単なるファッション、風向きに名前を付けていたにすぎない。SCMやMESがかなり繊維質の概念規定から出発したのに比べて、これら流行語は表層にあらわれる効果から命名されていく。
最近のこの手のヒット商品は「e-Business」という用語だろう。これは私は何をいっているのかさっぱり理解できない。「e-Commrece」だったら十分わかる。商取引という、従来紙と電話と面談で行われていたプラクティスをネットワーク上で通信で行おうというものだ。しかしe-Businessとは何なのだ。「ネットビジネス」という語も曖昧模糊として原因不明なることe-Businessと良い勝負だが。
これまでのオールド・エコノミーの商売が低空飛行気味なので、『これからはe-Businessだ』という謎のかけ声があちらこちらの役員室や会議室や居酒屋で飛び交っているようである。電子マーケットの案も似たようなプランがいくつも出回っている。まるでバブル時代のリゾートかゴルフ場計画のようだ。
10年前におかした過ちを、もう一度別のかたちで繰り返したら、今度は悲劇ではなく喜劇というものだ。日本のおじさんというのはまったく懲りない人たちらしい。電子化された爺さんたちの行くさまは、まさに「e-爺ゴーイング」と称すべきものらしい。