日本の製造業は革新をせまられています。
きわめて深刻な不況に加えて、近年登場したSCM(サプライチェーン・マネジメント)の概念や、APS(Advanced
Planning & Scheduling)などの新しい技術によって、生産のあり方は根底からの革新を迫られつつあります。
そして、そのかなめの役割を果たすべく期待されているのが情報技術者である、と私は信じます。しかしながら、ITの専門知識と、生産に関する深い理解の両者をかねそなえた人材は、いまだきわめて限られているように思えてなりません。
このサイトは生産計画とスケジューリングを中心にすえつつ、変貌しつつある製造業における生産のあり方を、情報の視点から理解し考えるために私が書きためたノートです。
製造業の業務プロセスを学びたいと考える情報技術者の方が、スケジューリングを中心として、
- 生産計画、
- サプライチェーン・マネジメント(SCM)、
- 企業間電子商取引(B2B E-Commerce)、
- 製造実行システム(MES)、
などを理解するためのノートのとして役立てていただければ、これにまさる喜びはありません。
また逆に、「最近の情報技術の潮流を知りたい」と考えておられる生産技術者の方にも読んでいただければ幸いです。
なぜこのサイトを作ったか
このサイトはもともと、拙著「革新的生産スケジューリング入門」(日本能率協会マネジメントセンター・刊)の読者へのサービスの一環として始めたものです。
スケジューリングとは古くて新しい問題、すなわち誰もがかかえている”時間の悩み”を解くための計画の手法です。
現代人はつねに「時間がない」という口癖とともに生きています。
産業界においても、組織全体でかかえる”時間の悩み”は深刻です。製品の開発や設計、そして製造や物流、販売において、仕事はいつも迫り来る時間との戦いです。
未来という未知数の領域では何が飛びだすかわからず、過去の時間は二度と元にはもどりません。いわばバック・ギアのきかない自動車で見知らぬ道を進むしかない、これがスケジューリングの悩みです。
この悩みをうまく解く方法はあるでしょうか?
実はあるのです。いくつかのキーとなる考え方を理解してスケジュールを立案すれば、誰でも時間をより効果的に使えるようになります。
その中心となる概念は、「自由度」です。自由度の概念によってスケジューリング理論の全体系を見渡し、これまで経験的に行われていた手法の意味と応用範囲を理解することを目的に、私は「革新的生産スケジューリング入門」を書きました。
このサイトは、上記の本を補完し、現代の新しいスケジューリングの技術と、その応用であるAPS(Advanced Planning
& Scheduling)ソフトウェアの情報源となることをめざしています。