不定貫

「BOM/部品表入門」第5章Q1

組立加工を中心としたディスクリート型製造業の世界では、ほとんどのマテリアルは「個数」で数えられる。生産計画・製造・物流・購買・販売などの、生産に関わるほとんどの業務は、個数でコントロールされる。中には荷姿の関係上、「枚数」や「メートル数」で扱うものもあるが、考え方は同じである。それゆえ、生産スケジューリングや在庫管理などのシステムもまた、個数ベースでハンドリングされる。

ところで、搬送や保管などの物流作業においては、個数ではなく重量で表わす方が便利だ。ナット1個とエンジン1個ではずいぶん違うから、全部で2個を搬送しますと言っても意味がない。単位を重量にすれば、両者を足し算して総重量を計算する意味も出てくる。

そこで、情報システム上は、1個あたりの重量をマテリアル・マスタに登録しておいて、個数から重量に換算する方法をとる。世の中の大抵の生産管理システムはこうした仕組みをもっている。

ところが、商品の中には、個数と重量の関係が一定しないものがある。たとえば、材木である。同じ1本でも、材質のむらのために、重量にはばらつきがある。あるいは、食品工業で扱う材料、たとえば生ハムや冷凍マグロや毛蟹などもそうだ。1本あたりの重量は、かなり巾がある。よしんば大中小のクラスに分かれていたとしても、巾ができることにかわりはない。こうした商品を「不定貫」と呼ぶ。これに対して、個数と重量の関係が定まっているものは「定貫」商品と呼ばれる。

不定貫のマテリアルは、搬送や保管は本数単位で行なわれるが、製造への投入や、取引の精算は重量単位で行なわれる。そして、両者を結びつけるために、必ず「計量」という行為がどこかで入る点に特徴がある。

不定貫商品は、生物起源の材料、すなわち農産品・水産品に多い。だから食品工業で、よくお目にかかる。また逆に、食品工業だけの特殊な習慣だと理解する向きも多いだろう。しかし私は、案外多くの業種で「不定貫」の考え方が役にたつのではないかと考えている。

たとえば、機能性材料を扱う業界や、先端的な電子材料を扱う業界においては、歩留りの巾が大きい。バッチ生産やロット生産において、仕込む原料は一定量だが、どれだけが製品になるかは毎回ちがう。このような工場では、工程間のスケジューリングはロット個数(あるいは容器数)単位でコントロールするが、在庫数量は計量ないし品質検査後にはじめて確定する性質を持つ。つまり、それまでは不定貫扱いなのだ。

また、シートやロールで扱わなければならない業界にも、似たような特性がある。100m巻のロール1本から20mを切り出した後でも、ロール1本には変わりないのだ。こうしたマテリアルは、裁断工程を必ず伴うが、裁断長の合計と、元の長さは必ずしも合わない。

上記のような業界は、私のいう「切替え型連続生産」の形態をとっている工場が多い。また、一種の容器管理を必要としている場合も多い。「切替え型連続生産」においては、容器管理と不定貫の扱いが必須であると考える所以である。