お知らせ:来る12月10日に、プロジェクト・マネジメントの1日セミナーを開催します

この数年間は、BOM(部品表)とかMES(製造実行システム)など、スマート工場や製造マネジメント系の講演依頼が多かったのですが、なぜか今年に入ってから、プロジェクト・マネジメントに関する研修セミナーの依頼を受ける機会が増えました。

プロジェクト・マネジメントはわたしにとって、一貫してこだわり続けてきたテーマ、いわば原点です。長年エンジニアリング会社で実務に携わってきましたし、2010年には働く傍ら、「リスク確率に基づくプロジェクト・マネジメントの研究」(Amazon )で、東大から論文博士を取得しました。わたしの調べた限り、東大でプロジェクト・マネジメント一般をテーマに学位論文を書いたのは、わたしが最初でした。

とはいえ、わたしがずっと関心持っていた分野は、いわゆる理工学的で計量的なアプローチ、「モダンPM」の領域でした。2011年には、「プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会」をスケジューリング学会の下で立上げましたが、その時の主な関心はモダンPM的アプローチの発展形にありました。

しかし、計量的アプローチが求められるのは、大規模でスコープが明確な種類のプロジェクトです。プラント・エンジニアリングはその典型ですが、そうでない種類のプロジェクトも沢山あります。むしろ数でいえば、その方がずっと多数派でしょう。

(ここだけの話ですが、同じエンジ会社の日揮の中でも、海外事業と国内事業はプロジェクト・マネジメントのやり方も使うITツールも、相当異なります。海外に比べ国内プラントの規模が小さいのも一因ですが、もっと重大な違いとして、スコープの堅さがあります。仕様書と契約で最初からガチガチに縛る海外プロジェクトに比べ、国内の顧客は要望が融通無碍ないし曖昧で、それに対応していかないと仕事が取れないのです)

上記のP&PA研究部会は、PM教育のためのツールなど成果も残しましたが、結局2024年の8月に解散しました。理由はいくつかありますが、当初目指したモダンPMの方向に向けて、あまり議論が進められなかった事があります。現在の日本には、ハードで科学的なPM論を指向する人はまだほとんどいないのだ、と感じた次第です。

ところが。世の中は分からないもので、ハードなモダンPM領域をリードしていたはずの米国PMIが、PMBOK第7版以後、なんだか右往左往しはじめたのです。日本でPMP資格を取る人は、おそらく大半がIT分野の技術者でしょうし、それは近年の米国でも、似た状況だったと想像します。そしてITプロジェクトは、まさに「スコープが柔らかい」分野の典型なのです。

だから従来のPMBOKでは飽き足らない、十分役に立たない、と感じた人が増えたのでしょう。2017年の第6版ではアジャイルの記述がはじめて導入され、21年の第7版では、プロセス重視から原理原則論へ、HowからWhyへと大転換しました。そして今年初めに出版された第8版は、再び大きな方向転換を示したのです。この変化には、たぶんPMP受験者が(つまり初級クラスの実務者が)一番、面食らっているのではないでしょうか?

わたし自身はPMPの維持もやめてしまったし、米国PMIの会合にも2017年以降参加・発表していないので、PMBOKの動向には強い興味がないのですが、しかしもちろんPM論それ自体の行き先には大いに関心があります。わたしはBOMのセミナーでもスマート工場の講演でも、必ず「プロジェクト・マネジメントが大切だ」という話を入れてきました。そう信じているからですし、かつ、スコープの柔らかい自発的プロジェクトの難しさについても、承知しているからです。

ということで、最近は計量的モダンPMの解説は控えめにし、むしろプロジェクトの価値論やミッション・プロファイリング、プロジェクト組織づくりやステークホルダとのコミュニケーションといった、どちらかというと「文系的」なトピックを中心に組むようになりました。WBSだけは基本なので(かつ、世の中にまともなWBS解説が少ないので)演習を入れるようにしていますが、これもある意味、定性的なスキルです。

つまり、最近流行りの言葉で言えば、プロジェクト・マネジメントの『人文知』の部分を学ぶための研修講座、という仕立てにしているのです。このため、今回の1日セミナーも、自社の業務変革だとか製品開発といった、スコープの柔らかい仕事に携わる方にも向いた内容になっています。

大勢の方のご参加をお待ちしております。


<記>

「プロジェクトを成功させるマネジメントの実践と問題解決のポイント」

日時: 2026年12月10日(木) 10:30~17:30
主催: 日本テクノセンター
会場: 〒163-0722 東京都新宿区西新宿二丁目7番1号      小田急第一生命ビル22F
セミナー詳細: 下記をご参照ください(有償です)
 https://www.j-techno.co.jp/seminar/seminar-82731/


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