お知らせ:6月22日に、BOMに関する1日セミナー(有償)を開催します


  • 『BOM/部品表入門』に書けなかった事柄とは



BOM/部品表入門』を山崎誠氏との共著で上梓したのは2005年のことでした。幸いまだ本書は現役ですが、さすがに20年以上前のため、触れられなかったトピックや、その後登場した新しいキーワードがあります。その代表例は「BOP」(Bill of Processes)でしょう。簡単に言うと「工程表」ですが、これが何を指す概念かについては、まだ世の中に揺れがあります(たとえば「BOP(Bill of Process)とは何を意味するのか ~ 三種類の用法を再整理する」参照)。




また、これと並ぶ用語として「BOE」/「BOR」もあります。それぞれ、Bill of Equipment, Bill of Resourcesの略語で、工場内の装置・機械設備の表と、より広い「製造資源表」を意味します。製造資源とは機械設備以外にも、金型・ツール類、そして要員を含む概念です。




さらに、「150% BOM」も挙げましょう。これはどちらかというと設計部品表E-BOMの分野の用語で、複数のオプション構成を含む製品のBOMを、包括的に示したものです。たとえば外装の色が赤・青・黄とあったら、それらをBOMに並列に並べる訳です。実際にはその中の一つを選んで製造するので、100%よりも大きなBOM構成となっており、だから150% BOMという言い方が広まりました。他に、「S-BOM」(サービスBOM)を挙げても良いかもしれません。こちらは顧客納入後の保守サービス履歴を含む、個別性の高いBOMになっています。




そして触れられなかったトピックとして、たとえば「個別受注生産のBOM」の作り方、そして「マルチE-BOM/マルチM-BOM」のバリエーション実現手法、などがあります。2026年の現代において、BOMを考え直し再構築しようとする企業は、こうした概念や課題トピックを避けて通れないと思います。




  • なぜBOM問題が20年後に浮上してきたのか?



それにしてもなぜ、『BOM/部品表入門』を出して20年もたった今さら、BOMが問題とされるようになったのでしょうか? そこには、製造業のITシステムをめぐる発展ないし複雑化がからんでいるように感じます。




拙著はBOMをめぐって、製造業の幅広い部門が議論し合う構成になっています。しかし読んでいただければ分るとおり、中心には生産管理(MRP)システムとM-BOMがありました。BOM概念は元々、60年代に米国でMRPシステムとともに確立してきた歴史があるからです。それは我が国の生産管理システムにも大きな影響を与えました。




しかし今世紀に入り、設計業務のCAD/デジタル化が広まります。その延長上に、PLMシステムが来ました。以前の記事にも書きましたが、日本国内ではPLM市場はERPよりも大きいのです。PLMの中にはBOM関連の機能があります。ユーザのどれだけがBOM機能を使いこなしているか、実態は今ひとつ不明ですが、せっかく高額なパッケージを入れるのなら、その機能も活用したいと考えるのは当然です。




さらにこのところ、ERPの見直しの波が来ています。日本でのERP導入の第一ブームは2000年の頃でしたが、その更新リプレースが大企業を中心に進んできました。ERPは調達・原価管理を重要と考えますから、製品から部品展開して部品購買に使う事例が多い。ここで、BOMを含むマスタ連携の問題が、他のレガシーシステムとの間で生じます。




加えて、(最近わたしが強調しているように)MES導入が次第に普及してきました。さらに生産スケジューラAPSも欲しくなってきた・・そうなるとPLM-ERP-MES-APSの間で、BOMをどうマネージするんだ?という、実務上の切実な問題が出てきます。つまり、業務側の変化というよりも、情報システム側の変化(成熟?複雑化?)で、BOMの再整理が必要になった、ということだと考えられます。




  • サイロ化が問題を助長している



ところが、ここに、日本企業の特徴である「組織のサイロ化」=組織間の壁が立ちはだかります。BOMデータには、控えめに数えても1ダース近い部門・機能が関わります。しかし、このやっかいな問題について、誰が火中の栗を拾うのか? その前に、そもそも全貌を知っている人間がいない――これが最大のハードルになっています。




おまけに外部コンサルタントも、設計側と製造側の両方が分る人間が少ない、という事実があります。ITコンサルは、設計系がメインの人が多い(PLMが大きな市場だからです)。他方、生産系に強いコンサルは、現場改善がメインでITに弱い傾向が顕著です。設計と製造にギャップがあり、業務とITに壁がある・・まことにBOM問題は、日本の製造業の状況を象徴するアキレス腱になっています。




もう、課題指摘はこれだけで十分なような気がしますが(笑)、もう一つだけ。じつは部門間連携に伴って、品目コード問題があらためて浮き彫りになってきています。典型定期な例としては、開発部門と製造部門と販売流通部門で、同じ自社の製品に違うコード体系を使っている。原料部材の品目コードについては、言うに及ばず。こういう状態で、グローバル・サプライチェーンの最適化、云々を議論するのがいかに奇妙か、お分かりになると思います。




  • わたしのBOMセミナーの特徴



ということで、宣伝です。わたしのBOMセミナーは、かなり包括的な視点でトピックを組立て、部門間をつなぎ、業務とシステムを統合するための共通理解を作ることを目指します。そのため、まずBOMの基本概念と種別を、BOMの世代を追いながら理解することから始めます。そして、『BOM/部品表入門』で触れられなかった概念や課題を説明します。




また、マテリアル・マスタと品目コード採番についても、かなり実務的な説明と演習をします。これも他にない特徴でしょう。




エンジ会社の人間として長年、エネルギー産業から機械組立系産業まで広く関わってきましたので、組立加工系のBOM(部品集合的な「A型BOM」)以外の業種ニーズにも触れることにしています。




そして、BOM(再)構築プロジェクトの進め方も解説します。プロジェクト・マネジメントは、自分のもう一つの専門分野です。その難しさも、解決のためのヒントも、専門家として承知しているつもりです。




1日セミナーとは言え、限られた時間ではあります。ですから、なるべく参加者とQ&Aを通じてインタラクティブに進めます。ぜひ何か得るものを持ち帰っていただく。それを目標にセミナーを進めていまいります。




<記>




BOM/部品表の基礎とBOM構築/再構築への応用テクニック ~演習付~




日時: 2026年6月22日(月) 10:30~17:30




主催: 日本テクノセンター




会場: 〒163-0722 東京都新宿区西新宿二丁目7番1号




     小田急第一生命ビル22F




セミナー詳細・申込み: 下記をご参照ください(有償です)




https://www.j-techno.co.jp/seminar/seminar-79256




大勢の方のご来聴をお待ちしております。




(株)マネジメント・テクノロジー 代表取締役 佐藤知一