仕事を変革する<計画とマネジメント>の技術ノート

シラクサ、その謎

「ゴーストタウンかな、ここは?」

バスでシラクサの街についたとき、思わずそう考えてしまった。なにしろ街は全て店の窓が閉ざされていて、通りにも人っ子一人歩いていないのだ。アグリジェントを朝出発しても、カターニャで乗換えを待って着くのは昼過ぎだ。重い荷物を持って、空腹をかかえて、ホテルも決まっていないというのに、街は扉を開けていないときた。バスは新市街の、鉄道の駅の近くに止まる。ぼくらは旧市街のホテルに泊まるつもりだったのだが、何回電話しても誰もでてこない。しかたがないので駅に観光案内を探しにいくが、ここには鉄道の案内しかない(小さな駅なのだ)。駅近くにも安ホテルが2,3軒あるが、どうもぱっとしないので敬遠して、ガイドブックにある4つ星の「ホテル・アジップ」にタクシーで向かう。
AGIPというのはイタリアの大手石油会社で、全国に系列のガソリンスタンドとモーテルを持っている。ホテルは一応「米国風近代的ビジネス向け」だが、設備はきれいでもサービスは味気ない。ほんとうに4つ星は中途半端だと感じる。

ホテルに荷物をおいて、市内のインフォメーションに歩いていく。ところがここも「職員外出中」と張り紙があって閉まっている。まわりの食料品店も閉まっている。とにかくどこもかしこも閉まっているのだ。しかたがないので懸命に歩き回って小さなカフェーを見つけ、ようやく遅めの昼食にありつく。

カフェーではやはり着いたばかりのフランス人3人と隣り合わせになる。彼らはタオルミナからきたというので家内が感想を聞くと「すごくよかった」という話だ。こちらもアグリジェントを絶賛しておいた。

小腹を満たして、2時半ごろ外にでると、通りには次第に車が増えつつある。街の店みせも鎧戸を開けはじめる。要するにシェスタでみんな閉まっていただけのことらしい。平凡な地方都市の街並みが見えはじめる。それにしても、ここまで徹底して街が死んでしまうところは初めて見た。そのうちにどんどん幹線道路の交通量は増しはじめ、三叉路では渋滞してクラクションでひどい騒ぎだ。ちゃんと信号機があるのに灯がともっていないのだからあきれるほかない。何のための信号なのだかわけがわからぬ。

再びインフォメーションに足を運ぶ。今度は開いていたが、職員のハイミス風のおねえさんは「私、仕事したくないのよね」と顔に書いてある(^^;)
「ここからタオルミナにいくバスの時刻表ある?」「ない。バス会社にきいて」
「じゃ、列車の時刻表は?」「あるはずだけど、今見あたらない」
「シラクサのホテルを紹介してほしいんだけれど」「そこの棚にリストがあるでしょ」
・・・何の役にもたたない。

とにかく、しかし、シラクサに限らず今回のシチリアの旅行ではインフォメーションがまともに役に立ったことがないのだ。観光に行く人はせめて事前にガイドブックでホテルにあたりをつけてから行った方が賢明だ。ついでにいうと、長距離バスは発達しているけれども、バス会社の事務所にもまともな時刻表がない。簡単なメモがあるだけで、それさえ職員はちゃんと読めないのだ。ほんと、シチリア人というのは公共のサービスには向いていない。

夕方、タクシーで旧市街に出向いてみる。新市街とは橋で結ばれている。しかし冬の風と霧雨に見舞われて景色を楽しむどころではない。いったんホテル近くに戻り、夕食の場所を求めてしばらく夜の街をうろうろする。なぜかさっぱり食堂がない。ようやくシックな感じのトラットリアを見つけてはいる。本日初めてありついたまともな食事だ。年輩の女将さんが身なりの良い紳士たちの客を相手にとりしきっている。料理も内装もりっぱだ。しかし、この街はまともなんだかいい加減なんだか、人当たりがいいんだか無愛想なんだか、豊かなんだか落ちぶれているんだか、美しいんだか平凡なんだか、さっぱり正体がつかめない。うー。

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