仕事を変革する<計画とマネジメント>の技術ノート

潮風と神殿

(10) 潮風と神殿

アグリジェントのギリシャ遺跡は街からバスで10分ほどの所にある。そこは「神殿の谷」とよばれていて、ギリシャ時代の神殿がいくつも、かなり原形をとどめた状態で残っている。

バス停で降りると、すぐ目の前にまっすぐな広い遊歩道があり、そしてはるか正面に神殿が見える。道はきれいに整備された砂利で、かすかな登り坂になっている。「谷」とよばれているが道は尾根筋にあって、右手は遠くに地中海、そして左手の山側には丘の上のアグリジェントの街並みが見える。海岸段丘とでも呼ぶべき地形なのだろうか、その段の際にそって神殿がたてられている。

神殿への道

道の両側はアーモンドの花が満開だ。また大きなウチワサボテンも赤い小さな実をつけている。サボテンの実は街の市場でも売っていたので一度買って味わってみたところ、酸味が多いが野趣のある香りだった。ただ表面に細かなとげが密集しているのは、さすがに親の血を引くというべきかなんというべきか(^^;)。

丘の上のアグリジェント

500mほど参道を登り切ったところに、ドーリア式のコンコルディア神殿が建っている。遺跡群の中でももっとも保存状態の良いものだ。紀元前6世紀のはじめにギリシャ人によって切り開かれた、ここアグリジェント(ギリシャ名アクラガス)の残した遺跡では時代的にもっとも後の物らしい。

それにしてもギリシャ神殿の遺跡というのは妙に心を打つ。

まず建築物として見ごたえがある。どっしりとしている割には重苦しさがない。柱の線が作りだすリズム感があるためと、もともと神殿が森の木々を擬して造られているという由来がそうさせるのだろう。また風化した石の表面が2千年以上の時の流れを感じさせて、思わず「悠久」だの「盛衰」だの月並みなことを思い出してしまう。

ギリシャ神殿遺跡1

しかし、何よりも一番二位のはそのロケーションだ。神殿からの海の眺めは最高だし、周囲の景色も美しい。逆に、遠くからの風景の一部として神殿を見たときにもさまになっている。ここらへん、古代ギリシャ人というのは実にツァリスティックな感覚に優れていたように思える。

参道をのんびり歩いて降りる。コンコルディアのほかにもっと古い神殿の遺跡があったり、ネクロポリス=墳墓の跡などが尾根筋沿いにならんでいる。その眼下には、牧草が黄色い花を咲かせ、地中海からの風になびいている。

バス停をはさんで反対側にもさらに遺跡が広がっている。谷と丘の風景は一歩あるくごとに絵のように展開する、・・というのは実はゲーテさんの感想だが、まさにその通りだ。遺跡群が数多くて見るのに時間がかかるばかりではなく、その周囲の風景が美しいため、一日のんびり見て歩いても飽きない。ただ、これを夏の炎天下にやったら熱射病で半死半生になっていただろうと思う(^^;)。2月でさえ日焼けしたくらいだ。夏いく人は帽子とサングラスと飲み物を絶対忘れない方がいい。

ほど遠くないところに古代の住宅地の遺跡群も残っている。考古学博物館だけはあいにく閉館で入れなかったが、昔の空気をたっぷりと胸に吸い込んだ一日だった。

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