購買オーダー
発注書
Purchase Order
「革新的生産スケジューリング入門」第3章講義5

「購買オーダー」とはPurchase Orderの直訳で、企業間で発行される指示であるオーダーの一種であり、資材購買担当者が外部に対して行う発注情報を意味する。ただし、ふつうは帳票の紙切れ自体の方を指し、単に「発注書」とよぶことの方が多い。英語ではPOと略する。受け取る側の組織では、「注文書」「オーダー」「受注オーダー」などと呼ぶ。

紙が重視されるのは、それが直接、お金のコミットメントになっているためである。多くの場合、サインや印鑑が求められる。むろん、口頭で注文しても、両者が内容に合意している限りは法的に有効である(八百屋で大根を買うのに発注書を切る人はいない)。しかし紙のエビデンスがある方が法的効力が強い。逆に口頭ベースで交渉している間は価格のネゴがきく。電子データだけでやりとりをする電子調達システムが、しばしば強い抵抗にあうのも、ひとつにはこの心理が働いている。

購買オーダーは情報技術的に見ると、ヘッダー情報と明細情報との2部構成になっている。ヘッダー情報には、購買オーダーID(=注文書番号)、オーダー名称、発注金額合計、全体納期、納入先、引渡し条件(INCOTERMS)、支払方法、発注先ID、支払先ID、購買依頼(Purchase Request)ID、調達仕様書(Requisition)番号、その他注釈などが含まれる。

明細情報(発注ライン情報)の方は、明細行(ライン)番号、明細項目名称、数量、数量単位、単価、合計金額、明細納期(分納の場合に使用する)、その他注記などからなる。

このように構造的には比較的明確であるにもかかわらず、困ったことに、購買オーダーの仕組みは、たいていの生産系情報システムやAPSのウィークポイントになっている。それは、調達という行為自体が、いわゆる生産管理学の中の盲点になっているからである。製造と違って、購買は販売と同様に、いわゆる「理系」の枠組みからはずれると思われている。購買部員や営業部員は理屈を嫌う、一癖ある人達だとさえ信じられている(そして時にはそれが真実だったりもするのだが)。

このような敬遠意識があるためか、購買オーダーをめぐるシステムはたいてい、ひどく単純につくられている。APSは製造リードタイムに関しては、あれほど精密な計算をするくせに、購買リードタイムは固定値で与えるだけだったりする。

もともと、購買オーダーは、マテリアルの供給指示(つまりモノを買う目的)にも、サービスを提供する指示(つまり外注加工などのレイバーワークを買う目的)にも、用いられる。無論、同じ注文書の中に「サーバの納品」というモノの購入と、「インストールのサービス」という作業の注文が含まれることは多い。しかし、本来、後者はワーク・オーダーとして、明細レベルで区別すべきである。

にもかかわらず、同一部門が発注作業を行っているので、同じ仕組みが用いられることが多い。そのため、部品表の中に、資材のみならずサービス項目を登録したりする。こうなると、データ構造自体が全体として少しずつゆがんでしまう。

サプライチェーンの観点に立てば、購買は販売と対称形の行為である。SCMを実現したければ、購買オーダーについて、より深く理解する意欲を持たなければならないのである。