ロット・サイジング
Lot Sizing
「革新的生産スケジューリング入門」第5章講義5
「BOM/部品表入門」第3章Q3

生産スケジュールを作成する際、製造ロットの大きさをどう決めるかが、しばしば重要になる。ふつうMRPでは、部品や製品の需要量(総所要量)から、引当可能在庫量を差し引いて正味所要量を求め、BOM(部品表)を元に、その子部品や原材料の所要量を展開計算するロジックを内蔵している。必要な時点で、必要な数量だけを製造する、という考え方である。これをロット・フォア・ロットという。

しかし、これを機械的に適用していくと、同じ品目を、ある時は1個、別のある時は100個つくれ、という指図ができてしまう可能性がある。製造機械の段取り替えの手間は、1個でも100個でもほぼ同じである。そこで、製造作業にたずさわる側は、できれば1個だけのためにわざわざ段取り替えをしたくない、と考えるだろう。

ロット・フォア・ロットでは少数量の製造オーダーが発生して不都合な場合、その工程に対して計画期間内で生じている正味所要量(つまり手配数量)を順にみわたし、複数のロットをまとめて適正な製造数量以上になるようにたばねる必要がでる。ロット合成(ロットまとめ)である。

また逆に、製造オーダーの数量が大きすぎて、加工機械の処理容量から見て一度に処理しきれないケースもある。この場合、一つのオーダーを複数に分割することになる。ロット分割である。こうしたロット合成やロット分割の計算を行なうことを、ロット・サイジングと呼ぶ。最近のERPやAPSは、こうしたロット・サイジングの機能を備えているのが普通になった。

ロット・サイジングの計算のためには、3つのパラメーターが必要になる。製造オーダーを生成するために必要な最低量(minimum quantity)と、一つの製造オーダーで生産可能な最大量(maximum quantity)、そして最大と最低の間でその数量の整数倍となるような基準量(multiple quantity)である。これらの値を、各工順に対して定義する必要がある。

ところで、大ロットで生産すると、段取り替えのロス時間はたしかに減少するが、よくない問題も起こりうる。個別の部品単位で見るとロット待ちの時間が増えるため、全体ではリードタイムが長くなる。“作りすぎ”のために在庫量が増える。『ジャスト・イン・タイム』『リーン生産』からだんだんとはずれてしまう。

そこで、従来から日本では、小ロット化を押し進めるために、『外段取り化』『シングル段取り』などの工夫により、段取り替え時間を短縮する努力が払われてきた。小ロット化を極端におしすすめ、『一個流し』を最善の理想とする考え方も強い。

しかし、これらは主にディスクリート型生産における最終組立工程では真実だが、他の分野では必ずしも適用できない。たとえば、焼鈍などのバッチ操作は、原則として1個でも10個でも処理時間に変わりはない。また、食品・飲料や医薬品などの工場では、品種切替のあとに、消毒洗浄や滅菌が法的に要求される。この時間は簡単には短縮できない。

そもそも連続流体・軟性体を扱うプロセス生産や<切替型連続生産>では、個数のような自明な「切れ目」が無いため、ロットサイズは自由度が高い。にもかかわらず、たとえば中間タンクの容量のような既存設備の制約に無意識に寄りかかって、ロット・サイジングを行なっているケースが実は少なくない。適正なロット・サイズの問題を、あらためて考え直すべき時がきているように思われる。