中堅製造業は、まずMESを(2000/12/20)

UDDIとUCCnetの意味(2000/12/05)

オープンなe-SCMからクローズドなprivate marketplaceへ(2000/11/08)

スケジューリング学会シンポジウムに参加して(2000/10/15)

あるB2B Net Marketの消滅(2000/7/21)

AMRの報告がE-Commerce に浴びせた冷や水(2000/5/02)

中堅製造業は、まずMESを(2000/12/20)

先日、日科技連の主催による「ものづくりとIT」と題する講演会に呼ばれて話をする機会を得た。これは「MES入門」の共著者であり編者である中村実さんによるコーディネーションで開催されたもので、テーマもMESそのものである。

そのときのハンドアウト・マテリアルも時期を見てこのサイトで公開したいが、今は趣旨だけを手短に書こう。

いま、情報システム化に置いて一番困難な立場に立たされているのは中堅どころの製造業であると思う。

それはなぜか。まず、製造業は流通業やサービス業、建設業、金融業などに比べて、内部でかかえているビジネスプロセスの幅が広くて深い。これは企業診断などをやってみるとすぐに実感できる。

加えて、「中堅」であることがまた別種の困難さを生み出す。大企業ではそれなりに資金力があって情報投資も可能であり、かつ社内にスタッフ的な仕事をこなせるだけの(余分な)人をかかえている。自社で何とかIT化を進めることができるのである。

逆に、小規模・零細企業では余計な人もいないかわりに、抱えている問題の規模も小さいので、あまり複雑なツールを必要としない。

ところが、中堅製造業では、それなりに製品開発・設計から資材購買・製造・物流・販売と、フルレンジの業務プロセスをかかえている。問題の複雑製の点では大企業とあまり変わらない。しかし、資金の点でもスタッフの点でも、中堅ではほとんど余裕がないのである。

(ここで「中堅」と呼んでいるのは、売上規模が年間100億円から700-800億円程度の企業である。上場の有無はとりあえず問題ではない)

そして、結論からいえば、こうした企業では、ERPやSCMよりも、まずMESこそが必要であり、導入の順番で最初にあげるべきものなのである。MESがきちんと「実績系」「指示系」「品質系」の情報の三本柱を把握してこそ、はじめてERPやSCMのツールが使えるのである。

現実の状況がピントのずれた写真のようにあいまいなうちは、ERPもSCMも高価なおもちゃにすぎないことを売り手の側も良く認識すべきだろうと思う。

UDDIとUCCnetの意味(2000/12/05)

UDDIなどと書くと、なんだか一時代前の通信規格FDDIの後継者みたいだが、むろん全然ちがう。これは

Universal Description, Discovery and Integration (UDDI) project

の略で、IBM, Ariba, Microsoftの3社が共同ではじめたプロジェクトの名前である。このプロジェクト、一言でいうと企業のための自己紹介とお見合いの仕組みを標準化して提供しようという、企業版「出会い系サイト」みたいなものだ。

実際の登録の方法はhttp://www.uddi.org/register.htmlでみることができる。登録のサーバは上記3社でそれぞれ運営されているが、どれかに登録すると他のサーバにも転送される仕組みらしい。

電子調達や電子マーケットの時代には、これまでつきあいのなかった企業を効率よく検索する仕組みが求められる。UDDIプロジェクトは、これを標準化した枠組みとして提供しようという、なかなか野心的な計画だ。つい最近のニュースでは、Oracle社も参加の意思を表明することになったらしい。

一方、UCCnetも、いかにも米国らしいプロジェクトで目が離せない。UCCは米国におけるUPC(日本で言うJANコード)の管理団体ときいているが、その拡張として品目マスタや取引先マスタの標準化/共通化をねらうとしている。ある意味では、QR/ECRのような流通系主導の運動の自然な延長と見ることもできるだろう。

取引先マス・品目マスタ・BOMはサプライチェーンで非常に重要なマスタであるが、そのキーとなるコード体系をどうするかが、現在E-Commerceに邁進中の各業界で大きな課題として出てくるはずだ。これはCatalog Aggregator業者(たとえば今年i2 Technologiesに買収されたASPECT Development社)なども注目しているところだろう。

UDDIもUCCnetも、今後のSCMとe-Commerceを考える上で、重要なキーワードとしてウォッチしておく必要があるだろう。

オープンなe-SCMからクローズドなprivate marketplaceへ(2000/11/08)

NetMarketMakers(netmarketmakers.com)社の最新のニューズレター(NMM WEEKLY MARKET NEWS, Week of November 6, 2000, Vol. III, #43)によると、独立系のe-Marketplace会社はきびしい試練の時を迎えているようだ。

米国における独立系の電子商取引の老舗である、

などは軒並み苦戦を強いられており、ビジネスモデルの転換(つまりどこでお金儲けをするか)を必死に考えている最中であるという。少なくとも独立系の商取引市場として生き残るのに十分なliquidity=流動性ないし取引高を確保できていないらしい。

わずか半年前、という言い方はドッグイヤーのこの世界では数年前に相当するのかもしれないが、とにかくシカゴで開催されたSupply Chain World 2000のコンファレンスに出席したときは、イケイケどんどんの雰囲気だった。この調子でいけばあっというまに米国ではB2B marketを中心にしたe-SCMが実現する、もう世界では並ぶものがない、といわんばかりだったが、今やこの始末である。

この半年間にはっきりしてきたことは、むしろその逆であって、Brick & Mortarの会社の力が強く、かつ彼らは最初はクローズドな自分たち専用のprivate e-marketplaceを構築して進めるという方向性だった。

今の時点で元気がいいのは、そうしたバイヤー中心の電子調達システムの道具を売っているAribaやi2やOracleといったソフトウェアベンダーばかりである。

別にそうした動きが悪いといっているのではない。いくら米国といっても、「産業革命以来の最大の発明」といわれる電子市場に一足飛びに乗り移るのはとてもできない相談だった、という事実を、今やきちんと再認識しなければならないのである。

スケジューリング学会シンポジウムに参加して(2000/10/15)

10月13日・14日に浜松で行われた日本スケジューリング学会の2000年度シンポジウムに参加してきた。

スケジューリング学会は98年度に誕生したばかりの若い学会だ。それ以前は、OR学会や日本機械学会・人工知能学会などの研究会のかたちで年1回のシンポジウムを開催していた。正式な学会組織になって、日本のスケジューリング研究分野の俊英たちが集まる場所として認知されやすくなったようだ。学会員はまだ200名ちょっとで、こぢんまりした学会だが、その分お互いに顔見知りになる機会が多いとも言える。

理論と実戦はスケジューリング研究にとって車の両輪だ、という認識がこのシンポジウムでも何度か表明されている。とはいえ、研究発表は大学人による発表が大多数だ。

私個人が興味深く聞いたのは、「ラグランジュ緩和法」「最適化手法のメタ戦略」に関するレクチャー講義、そして、日本のスケジューリング研究の第一人者・木瀬先生(京都繊維工芸大学)による「スケジューリング研究の過去・現在・未来」に関する講義だった。

ラグランジュ緩和法は、スケジューリング問題において、制約条件を目的関数に組み込むことで無制約最適化問題としてアプローチする手法。私が提案している「ゾーン・メルティング法」にも少し通じる考え方で、たいへん興味深かった。

このように意義あるシンポジウムだったが、ただ一つだけ不満めいたことを言わせてもらうならば、アカデミックな研究発表がしばしば、「ORないし最適化手法研究の一分野としてのスケジューリング問題」というとらえ方をしていたことかもしれない。私のような実務の世界に身をおくものとしては、スケジューリングは生産計画(もっと広く言えばSCMにおける供給計画)の下の一問題であって、それは必ずしも最適化問題とは言えない場合も多い、ということだ。

このようなギャップが、スケジューリング研究の盛り上がりとともに解消されていくことを願っている。

あるB2B Net Marketの消滅(2000/7/21)

ARC News Summary for the Week Ending Jul 21,2000 より

IndustrialVortex.comがオペレーションを停止した。理由は「資金集めの第2ラウンドが失敗したため」と言われている。http://www.industrialvortex.comにアクセスしてみると、代表者からのお詫びのメッセージがほんの数行(まだ)表示される。

IndustrialVortexは、産業用の計測制御・自動化関連製品を専門に扱うことをめざしたE-Commerce marketだった。一種のカタログ・アグリゲーターをめざしていたようだ。

しかし、自動化製品のメーカーの多くはITに直結した技術を売り物にしている(少なくともそうしたイメージを大事にする)ため、自前で売り手側のマーケットを開設する動きが多い。おまけにこうした品目はカタログ商品とはいえ、買い手の独自のニーズに合わせた仕様買いをするケースが多い。これを自社のWeb siteで受注しようと言う、いわば"Dell Model"のまねみたいなことをみなが考えている。

こうした市場の特性から、IndustrialVortexのような独立したNet Marketが利益を上げていくのは非常に難しくなってきた。IndustrialVortex社は4月頃には、サイトを通して発せられたRequest For Quotations (RFQ)の総額が$20 MMを超えた、と誇らしげに発表していたが、出資者は納得しなかったわけだ。たしかにいくらRFQ=引き合いが流れても、取引が成立しなかったらmarketとは誰も思わないのである。

AMRの報告がE-Commerce に浴びせた冷や水(2000/5/02)

NMM Weekly Market News, Vol. III, #18 より

AMR Research’s (http://www.amrresearch.com)が発表した "Evaluating the Independent Trading Exchanges"は、米国で昨年生まれた600以上あるNet Marketのサイトの内、せいぜい50-100程度しか2001年までに生き残らないだろう、と予測している。

彼らはまた独自の評価法によるTOP 20を発表していて、なかなか面白い。

現在のB2B exchangeの最大の問題はliquidityつまり取引量の確保だろうが、おそらく参加企業のバックエンド側のレガシー・システムとどうスムーズに接続するかが今後の課題になってくるのだろう、と私自身は思う。